(埼玉県の道の駅　no.21)

道の駅　べに花の郷おけがわ

道の駅基本情報
駅名	べに花の郷おけがわ(べにばなのさとおけがわ)
住所	埼玉県桶川市大字川田谷4324-1
コード	14 258 708*38
駅名の由来	駅名は公募により決定。桶川市はかつて「紅花宿」といわれた宿場町で、富と文化をもたらした作物である。桶川市ではふるさと創生事業の一環として「べに花の郷　桶川市」をキャッチフレーズにしている。
施設	物産館、農作物直売所、海産物直売所、レストラン、おむすびの店、クレープ店、パン工房、【隣接施設】城山公園
休館日	無休
営業時間	9:00～17:00 (レストラン 10:00～15:30) (おむすびの店 10:00～17:00) (クレープ店 10:00～15:30)
道の駅の特産品	深谷ネギ煎餅「ねぎ太朗」、深谷ネギ餃子、埼玉ネギのチーズパリ、オーケー桶川生ドーナッツ、オーケー桶川ソフト、おいもどんどん、埼玉芋あんまき、埼玉牛乳パンケーキ、埼玉ミルクドレッシング、埼玉牛乳せんべい、ひんやり葛キャンディー、埼玉ごちそう亭のおにぎり、紅花のドライフラワー、紅花ジャム、紅花ドレッシング

TCCグループが手掛ける新しい道の駅

　首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の桶川北本ICから国道17号線を南東に900m、埼玉県東部の桶川市に「道の駅　べに花の郷おけがわ」はある。道の駅周辺は田畑6割、住宅4割のどちらかと言えば長閑な風景。ただ、東に2km程進めば、そこは住宅がびっしりと立ち並ぶ桶川市の中心街。上尾市やさいたま市など、埼玉県の人口密集地区にも至近距離にある。
　埼玉県には「川口・あんぎょう」という都心に最も近い道の駅が存在するが、それを除けば本駅は県内では最も首都圏に近い道の駅。「川口・あんぎょう」は樹木や花卉販売に特化した特殊な道の駅であることを考慮すると、本駅は県内では最も都心に近い本格的な道の駅と言えるだろう。

　本駅は千葉県の「木更津　うまくたの里」、茨城県の「常総」等、道の駅経営に抜群の実績を持つTCCグループが手掛ける道の駅。2025年3月にオープンした新しい道の駅である。関東地方を中心に道の駅巡りをされている方には「またか…」と思うかも知れないが、本駅もTCCグループの「らしさが全開」の道の駅。 TCCグループの「魅せる、買う気にさせる」というノウハウが本駅でも至る所に散りばめられている。

　ただ、…決して口コミ評価が全てとは思わないが…、本駅のGoogleによる口コミ評価は衝撃の2.7点(5点満点)。これは県内の道の駅では断トツの最下位。おそらく、これはアクセス面の不満が反映されているのだろう。 首都圏に近い本駅は週末を中心に大混雑。週末の昼間の時間帯は国道まで駐車待ちの列が伸びているため、右折入庫はほぼ不可能と考えた方が良い。本駅を訪れる際は少々遠回りになっても左折入庫できるルートを選択したい。

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深谷ネギの聖地？

　ところで、TCCグループの道の駅のシンボルになっているのがハッシュタグ付きのモニュメント。「木更津　うまくたの里」ではピーナッツ(#おナッツ)、「常総」ではサツマイモ(#お焼き芋)。それぞれ、ピーナッツの聖地、さつまいもの聖地として印象付け、何を買うべきかを客にアピールしている。
　さて、気になる本駅だが「OKEGAWA」という文字をあしらったモニュメントに「#埼玉県」というハッシュタグ。ただ、個人の意見としては「ちょっと日和ったなぁ…」という感じがする。

　というのも、本駅の主役になっているのは深谷ネギ。深谷ネギのモニュメントを設置して本駅を深谷ネギの聖地としてイメージさせ、深谷ネギを使った商品を大々的に販売するというのが狙いだったのでは、と思うのだが。これは想像だが、TCCグループの会議室でこんなやり取りがあったのではないだろうか。

　「桶川市の道の駅、深谷ネギのモニュメントを設置して、深谷ネギ関連商品を大々的に展開する、というのはどうでしょうか。ハッシュタグは"#おネギさん"にして。」
　「うーん。でも、深谷市を差し置いて、桶川市にある道の駅を深谷ネギの聖地にするのはちょっとまずいんじゃないか？」
　「そうですか。じゃあ、駅名が"べに花の郷"に決まっているので、べに花のモニュメントを設置して、べに花を使った商品を大々的に販売するというのはどうでしょう」
　「いや、さすがに"べに花"では商売にならんだろう」

　上記はあくまでも私の想像なので、実際のところは分からないが(違っていたらごめんなさい)、妥協した結果が「OKEGAWAのモニュメント」と「#埼玉県」のハッシュタグではないだろうか。結果として、他のTCCグループの道の駅と比べて「何を買うべきか？」がぼやけてしまった感じがする。

　とは言うものの、TCCグループの商売の上手さは本駅でも光っている。入り口近くに看板商品をズドンと置いて何を買うべきかアピール。その横では店員さんがにこやかに商品の試食を進めてくれる。 看板商品は1ヵ所ではなく、複数個所に置くことによって客の見逃しを防止。更に、本駅では他のTCCグループの道の駅には無い新しい試みとして「デモキッチン」を設置。本駅でも「思わず、買い物の量が増えてしまう」のは確実である。

　それでは、本駅の人気商品をチェックしていきたい。入り口付近にドンと置かれているのが深谷ネギ煎餅の「ねぎ太朗」。その脇を葱パウダーが入った煎餅に濃厚チーズクリームが挟まった「深谷ネギのチーズパリ」と「深谷ネギ餃子」が固める。少し奥に進むと「埼玉ネギっこタルタルソース」「ネギおかか」「ネギチップス」等。深谷ネギを使った商品のオンパレードである。
　埼玉県産のサツマイモを使った「おいもどんどん」「埼玉芋あんまき」も注目の商品。埼玉の蔵出し味噌を使った「お味噌汁の素」「埼玉みそまんじゅう」、埼玉県産の牛乳を用いた「埼玉牛乳パンケーキ」「埼玉ミルクドレッシング」もある。
　駅名にも入っている「べに花」を使った商品では「べに花のドライフラワー」「べに花染め」「紅花ジャム」「べに花ドレッシング」等。ちなみに「べに花染め」のストールは50cm×180cmの商品で1600円。「意外と安い」という感じがする。

クリーム生ドーナッツが人気

　TCCグループの道の駅のもう一つの特徴は物産館内に専門店がいくつも並んでいるという点。本駅でもその特徴は引き継がれており、8つの専門店が並んでいる。特に人気になっているのは「オーケー桶川ベーカリー」。 9時、11時、13時、15時の1日4回、パンが焼き上がるが、焼き上がり時間に合わせて行列が出来るほどの人気ぶり。特に人気になっているのは「オーケー桶川クリーム生ドーナッツ(380円)」。 3日間も仕込んで生地からじっくり作り上げた生ドーナッツ。購入時は「この分量で380円はさすがに高すぎるのでは」と思ったが、中に入っている生クリームの質は尋常ではない。 モチモチ、ふわふわで口の中で自然に広がっていくようなとろける味が魅力的。人気になっている理由が分かる気がした。

　スイーツの店「オーケー桶川ソフト＆クレープ」も朝から行列が出来るほどの人気の店。埼玉県産の牛乳を使ったソフトクリームとクレープは鮮度が抜群。特に人気になっているのは「ミルクソフト(450円)」。味もさることながら形状も凄い。よくこんなきれいな形に作れるものだと感心してしまう。

　おむすびの店「羽釜ごはんむすびの郷」では創意あふれる手巻きおむすびを提供。ウニとイクラが入った「贅沢まき(528円)」を始めとして「辛子明太にぎり(330円)」「ごま高菜にぎり(286円)」等、 20種近くのおにぎりが販売されている。
　埼玉牛乳の専門店「オーケー桶川ミルクの店」では「ミルクシュークリーム」「ミルクパンケーキサンド」等のミルクを使ったスイーツを提供、「海鮮市場」では「サーモンいくら丼(1080円)」等の海鮮丼や刺身、干物を販売している。惣菜工房「ごち惣てい」では総菜やお弁当を提供。屋外には「つぼ焼き芋」の店もあり、焼きたての焼き芋を味わうことが出来る。

「桶」を使った食事を提供

　本駅の「食」の施設はレストラン「桶まる大食堂」が中心。名物は桶川市に因んで「桶」を使った丼物。ユニークな料理を楽しむことが出来る。
　桶を使った通常メニューは「しらす桶小丼(495円)」「ねぎとろ桶小丼(528円)」「海鮮ゆっけ桶小丼(638円)」等の10種類。これらの桶小丼がセットになった「オーケー桶祭り丼5種祭り(3740円)」「8種祭り(6050円)」もある。
　桶川市の食材を使った料理なら「男気トマト」を使ったメニューがお勧め。「男気トマト」とは桶川市の手島農園が提供するトマト。トマトは乾燥するほど甘くなるという性質があるが、その特徴を生かして植え付け時以外は水を与えない無かん水栽培で育てたのが「男気トマト」。レストランでは「男気とまと～麺(1580円)」「男気トマッキーマカレー(1580円)」が提供されている。
　その他、麺類では「桶うどん(680円)」等を提供。定食類ではお刺身2種とアジフライが付いた「桶まる定食(1680円)」等を味わうことが出来る。