(兵庫県の道の駅　no.37)

道の駅　よかわ

「道の駅　よかわ」は兵庫県三木市にある道の駅。炭酸含有量が多く、療養泉として名高い温泉施設「吉川温泉よかたん」が人気になっています。三木市は酒米の山田錦の産地としても有名で、館内では日本酒の試飲や購入が可能になっています。以下、現地調査に基づいた利用者目線のレポートをお届けします。

「道の駅　よかわ」施設情報

駅名	よかわ
住所	兵庫県三木市吉川町吉安222
コード	133 179 749*24
駅名の由来	市町村合併前の旧町名の吉川町より。駅名は公募により決定。「吉川」の地名を残したい、ひらがな表記で親しみやすく覚えやすい等の理由から。
施設	物産館、農作物直売所、レストラン、温泉(温泉内にも物産コーナーと食事処あり)、足湯
休館日	月曜日[祝日と重なる場合は翌日]
営業時間	9:30～18:00 ※施設毎　→　施設毎の営業時間
道の駅の特産品	【物産館で販売】日本酒各種(吉川/播州一献/たましずく/酒壺/山田錦/ヤエガキ律/等)、酒きんつば、彩雲の巻き寿司、彩雲の弁当、彩雲みそ、彩雲ガトーショコラ、松茸昆布、シメジきくらげ、山田錦純米酢、丹波黒豆パイ、湯けむりたまご饅頭、よかたんオリジナルボディータオル【温泉内の直売所で販売】山田錦甘酒、山田錦せんべい、温泉梅(梅干し)
道の駅グルメ	【山田錦の館で提供】日本酒の試飲【レストランで提供】彩り御膳、松花堂、こぶうどん/そば、とんかつ定食【温泉内の食事処で提供】山田錦味噌かつ定食、播州百日鶏山田錦丼、播州百日鶏親子丼、チキン南蛮定食、黒田庄和牛コロッケ&メンチカツ定食、あまざけソフト
公式ページ	道の駅　よかわ　公式ページ

兵庫の名湯が道の駅に

　中国自動車道の吉川ICから県道17号線を東に1km、兵庫県南東部の旧吉川町(現三木市吉川町)に「道の駅　よかわ」はある。インターからの道中は田畑7割、住宅3割の「程よい田舎」と言う感じ。ただ、時間帯にもよるとは思うが、長閑な車窓の風景とは裏腹に道路は意外と混雑する。
　航空写真で本駅周辺を眺めて頂くとよく分かるが、本駅周辺は異常な程にゴルフ場が密集(もしかして兵庫県民はゴルフ好き？)。もしかしたらゴルフ場に向かう車、帰る車で混雑するのかも知れない。

　さて、本駅の前身となるのは「吉川温泉よかたん」。湯に含まれる炭酸の濃度が非常に高く(日本の温泉ではトップクラス)、療養の湯として有名。2024年8月に道の駅に登録され、2025年4月より道の駅として営業している。
　知る人ぞ知る名湯の吉川温泉だが、兵庫県南東部の温泉と言えば知名度的には圧倒的に有馬温泉が優勢。しかも、都市部の神戸市や大阪府内からのアクセスの場合、吉川温泉の手前に有馬温泉があるから、余計に有馬温泉の壁が高くなる。 現状、吉川温泉への年間来客者数は約40万人。本駅を管理する三木市によると道の駅登録効果で年間来客者数65万人を目指しているそうだ。

　私が本駅を訪れたのは道の駅登録から6ヵ月経過した2025年10月。平日でも駐車場は満杯であり、今のところ道の駅登録効果はかなり大きいような感じがする。この調子をキープできれば、目標の65万人はおそらく軽く達成できるだろう。道の駅愛好家の一人としては「こんな名湯を世に知らしめてくれてありがとう」と言わずにいられない。

「道の駅　よかわ」にある「よかたん温泉」の写真 — 知る人ぞ知る名湯の吉川温泉「よかたん」

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温泉施設にはレストランと物販コーナーも

　本駅は上述の「吉川温泉よかたん」と、もう一つ観光物産館「山田錦の館」から成る道の駅。その他、無料で利用可能な足湯広場もある。各々の施設について順次、紹介していきたい。

　まず最初に温泉施設「よかたん」から。ここには温泉はもちろん、館内にはレストランと物品販売コーナーも備えている。
　温泉の泉質は正式には「含二酸化炭素－ナトリウム―塩化物・炭酸水素強塩泉」。炭酸ガスの含有量が多いのは上述の通り。塩分濃度が高いのも特徴であり、湯冷めしにくいという効用も備えている。
　浴槽は大浴場、源泉風呂、露天風呂、樽風呂、スチームサウナ、水風呂の6種類。源泉温度が32℃とやや低く、源泉風呂以外は過熱を行っているため「厳選掛け流し」にはならないが、それでも療養効果は抜群である。ちなみにやや低温の源泉風呂だが人気は抜群。この浴槽に関してだけは時間帯によっては順番待ちになることもある。聞くところによると温泉通の間では日本屈指のパワースポットであり、「絶対に入るべき湯」であるらしい。

「道の駅　よかわ」にある足湯の写真 — 温泉施設内は撮影禁止なので代わりに足湯の写真を。足湯は利用料無料。泉質はもちろん吉川温泉と同じである。

　温泉施設内には食事処「よかたん亭」もある。この食事処では吉川町ならではの名物料理を提供。こちらも要チェックの施設になっている。
　注目したいメニューは「山田錦味噌かつ定食」。大きな三元豚のトンカツの上に、この食事処特製の山田錦味噌ダレを掛けたもの。山田錦の米麹から発される甘味溢れるソース。厚みのある熱々トンカツの噛み応え。噛んだ時に染み出す高級感のある肉汁。どれをとってもパーフェクト。ご飯も味噌汁もとても美味しい。これで1180円と言うのは完全にお値打ち価格である。
　その他のメニューはまだ、私は味わっていないが、「播州百日鶏山田錦丼(880円)」「播州百日鶏親子丼(880円)」、播州百日鶏を使った「チキン南蛮定食(1000円)」もこの食事処自慢のご当地料理。山田錦を使った「あまざけソフト」も人気になっている。
　温泉施設内には物販コーナーもあり。ここでは「山田錦甘酒」「山田錦せんべい」「温泉梅(梅干し)」等が販売されている。なお、温泉施設内の食事処と物販コーナーは入館料不要で利用可能である。

「よかたん亭」の名物メニュー「山田錦味噌かつ定食」の写真 — 温泉施設内の「よかたん亭」の名物メニューの「山田錦味噌かつ定食」。これは美味しい。

物産館の名物は日本酒試飲コーナー

　続いて観光物産館「山田錦の館」の紹介に移りたい。この館内には農作物直売所を兼ねた物産館とレストラン、またユニークな施設として日本酒の試飲＆販売コーナーもある。

　まずは物産館だが、目に付くのは「彩雲」を冠した商品の数々。物産館の人気No.1商品の「彩雲の巻き寿司(864円)」を始めとして、「彩雲の弁当」「彩雲みそ」「彩雲ガトーショコラ」「彩雲パウンドケーキ」等、日本食から洋菓子までジャンルの幅もかなり広い。
　「彩雲って何？」と疑問を抱く方もおられるかも知れない。「彩雲」は「太陽の近くで雲が五色に輝く吉兆」を意味する言葉。地元の主婦が中心の「企業組合　彩雲」が展開する商品で、 吉川町の食材を使った手作り商品が本駅の「彩雲シリーズ」の正体である。

　館内には「三木市特産品コーナー」もある。ここでは「松茸昆布」「シメジきくらげ」「湯けむりたまご饅頭」「黒豆ひねり餅」等、やや渋い商品を販売。オリジナル商品としては吉川温泉の可愛い図柄入りのボディタオル「よかたん美肌タオル」が販売されている。
　館内には「パンコーナー」もあり、ここでは「山田錦米麹みそ入り食パン(1080円)」が名物。農作物直売所もあり、ここでは30種類位の地産の野菜・果物を販売。一般的な野菜に混じって「赤モーウイ(瓜の一種)」「ダビデの星(オクラの一種)」等の珍しい野菜も販売されている。

　館内にはレストランもある。運営しているのは上でも説明した地元の主婦が立ち上げた「企業組合　彩雲」。「よかわ味処　彩雲」という名称で営業を行っている。
　名物メニューは「彩り御膳(2500円)」。物産館でも人気の「彩雲巻き寿司」を中心に手作り惣菜が6品も付いた手の込んだメニューである。同じく「彩雲巻き寿司」が付いた「松花堂(2200円)」も人気のメニュー。「とんかつ定食」「エビフライ定食」等の定食類や「こぶうどん」「こぶそば」等の麺類も提供されている。

　もう一つ、館内で忘れてはならないのは「日本酒の試飲＆販売コーナー」。山田錦から醸造された日本酒、「吉川」「播州一献」「たましずく」「酒壺」「山田錦」「ヤエガキ律」等、約30種類が並んでいる。
　試飲するには500円の試飲チケットを購入する必要あり。チケットを購入すると好みの3銘柄の日本酒を試飲することが可能になる。
　私も試飲したい気持ちは非常に強かったが、運転が控えているので泣く泣く断念。車で訪れることが前提である道の駅。本駅に限ったことでは無いが、酒類の試飲、提供を行っている道の駅はもう少しドライバーに配慮を行って頂けないものだろうか。例えば、この場で一晩過ごせるRVパークを設置する等。ちなみに、本駅には「車中泊はご遠慮ください」との看板が出されている。この件に関しては一言、憂慮を申し上げておきたい。